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千石先生の思い出


2022/04/23

連載その1 出頭命令

| by 管理者

私は『いまだに』そうであるが、おそらく当時の全ての麻布大学出身者にとって、病理学第一講座の扉は地獄の門のごとくに重たく恐ろしいものであった。閻魔大王たるN教授も恐怖の対象に違いなかったが、儀仗兵もかくやという動きで出席カードを配る無言の宇根先生も、恐怖の双璧を成していた。若き日の宇根先生から発せられる緊張感あふれるオーラは、学生達の背筋をピンと伸ばし、代返を試みようとすら思わせない無言の圧力となって教室を包んだものだった。

その後、病理学実習で宇根先生から直接ご指導をいただく機会に恵まれ、閻魔大王の講義で遅れをとった私の病理学への理解は一足飛びに進歩し、はじめて病理学が面白くなってきた。実習中、宇根先生に対し恐れ多くも直接質問をする私に、同級生は勇気ある者として小さな喝采をおくったものである。

その、恐怖の宇根先生がなんだってポリバケツにアミメニシキヘビを入れ、カメレオンが水を飲まないといって頭を抱えているのか、事情がさっぱり判らない。爬虫類が好きな変な院生(私のこと)がいるという情報が宇根先生の耳にはいった経緯も謎だ。なにしろ麻布大学は野生動物では卒論が書けないというのが常識だったし、ましてや病理はガチンコで食肉検査一点張りの講座という印象があった。大学の動物病院から犬猫の検体を受けてはいたものの、当時は率先して犬猫をみているという雰囲気でもなかった。なのに、その犬猫すら飛び越えて、宇根先生の手元に爬虫類がおかれている様子は想像すら難しいことだ。

とにかく・・・・賢くも宇根先生に対し奉り、面と向かうのは病理学の実習以来、実に数年ぶりのことであったので、解剖場に出頭するにあたり、私は体中のいろんなところが縮む思いだった。     (つづく)

 

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筆者注 *筆者の宇根先生に関する記述は本稿を盛り上げるために若干脚色されています。それに惑わされることなく、みなさんそれぞれの心の中にある宇根先生のイメージを大切にしていただければと思います。なんたって 宇根先生はゴリス先生のヘロインですから。←ヒロインをネイティブ発音するとヘロインになると知ったのは2014年のスカパラ懇親会で宇根先生のお誕生祝があったときのことでした。宇根先生!あなたは私のヘロインだ! って。うけましたねぇ。あの一言は。

なお、千石先生の思い出を語るべき本稿に千石先生が出てこないのは何故だという当然の疑問に関しては・・・・『ちょっとまって!もうすぐ出てくるから』ということでご了承いただきたいと思います。

それから、ここから先は延々と楽屋落ちです。資料的価値を付加するために、当事者しかわからない楽屋落ちに徹した展開となっていきます。


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